fc2ブログ

OLD TOWN DESSERT DIARY

「観ること」と「旅行」が好きなゆえれんの観劇旅食べ記録。コメント歓迎します!

イッセー尾形の生のステージは8年ぶりくらい。
この人の一人芝居は大好きなんだけれど、毎年日程の相性が悪く、本当に悪く、まる8年連続で行くことができなかった。
今年ついに行くことができました。

イッセー尾形、世界が認める数少ない天才演劇人だと思います。
もう年十年も、ひとりきりで、ステージの上に広大な世界を生み出している人。
彼を観たのは久しぶりに見たけれど、彼の演技力とその肉体はまったく衰えを知らず、むしろ研ぎ澄まされているのだと感心しました。

キャパ300くらいの小ホールでの公演、かつ舞台装置は何もなくてシンプル。
客席と舞台の一体感は半端でなく、視線が分散される舞台装置が立派で複数の役者が登場する大ホールでの芝居と比べると、観客の視線は容赦なく集中して突き刺さるだろう。
その視線に全くひるむことなく、客の視線の先に、その場には存在しない空間と人を見せてしまう彼の力量と存在感。

イッセーのステージの特徴として、10分ほどの短いステージが終わると、舞台の袖で次のキャラクターへ変身するのだが、その変身の様子も舞台の一部として公開する。
彼が女から男へ、若者から老人へ、社長からホームレスへ変身していく様を客はかたずをのんで見守る。
僕はステージの内容よりも、むしろあの変身の時間にたまらなく興奮を覚えます。
舞台袖で動いているのは、舞台上の役になりきったイッセー尾形ではなく、演劇人としてのイッセー尾形本人。
一流の演劇人が、舞台に立つ前に真剣なまなざしで衣装を合わせ、メイクをしている時間。
その、普通なら観られないプロの演劇人の素顔を覗き見しているみたいで、緊張感にあふれていて好きなのです。

全く別の姿になり、ステージに向かい、一度暗転しそれが開けた瞬間、彼はイッセー尾形個人とは全く別人格になっていて、彼が舞台に立つだけで、そこにはセットとしては実際には見えないけれど、でも確かに新しい舞台世界が広り、観客は心でそれを見ることになる。
あいかわらず、圧巻であり、脱帽いたしました。

公演アンケートが、公演直前にその日の出来事を織り交ぜたイッセー直筆のお手紙だったり、影アナがイッセー自身であったり、大俳優であるにもかかわらず観客と身近なところも、彼の素晴らしいところです。
来年も、必ず観たいと思わせる素晴らしいステージでした。
2011.06.17 08:56 | ステージ・演劇・コンサート・ライブ | トラックバック(-) | コメント(0) |












管理者にだけ表示